残業代未払い

当事務所では、

  • 「深夜まで働いているのに固定残業代制と言われて残業代が払われない」
  • 「残業代を請求したいけれどもタイムカードがない
  • 歩合制のトラック運転手だけれども残業代を請求できるだろうか」
  • 管理職には残業代が発生しないと言われた」
  • 年俸制でも残業代は請求できるだろうか」
  • 当直時間中の残業代が支払われない」

など残業代に関わる多数のご相談をいただきます。

そして、これらの事例の多くは残業代を請求することが可能です。

本ページでは、残業代請求においてよく発生する問題点をQ&A方式でまとめました。

当事務所では、地元に根差す法律事務所として鹿児島で発生する残業代事件に全力で対応しています。

こちらで掲載したご相談以外の案件ももちろん対応しておりますので、鹿児島で残業代の不払いでご相談をご希望の方は、是非、

【TEL】0995-50-1341

(受付:平日 9:00~18:00)

までご相談ください。

※【労働相談は初回無料】です。安心してご相談ください。


Q&Aのテーマ
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残業代は時間外・休日・深夜労働をした場合などに発生

相談者
相談者
そもそも「残業代」とは何ですか?
労働契約労働基準法で定める水準を超えた労働をした場合に発生する賃金です。
弁護士
弁護士


相談者
相談者
どのような場合に残業代は発生しますか?

1日8時間・週40時間以上働いた場合、②休日労働をした場合、③深夜労働をした場合などに発生します。
弁護士
弁護士


【解説】
労働基準法は、労働者の健康と安全を確保する観点から、①1日8時間・週40時間労働の労働時間規制を設けています(法32条)。
また、同様の理由から、②週1日の休日の確保を命じています(法35条)。
この①の上限時間を超える労働を「時間外労働」、②の休日に行われる労働を「休日労働」といいます。
さらに、③午後10時から午前5時までの労働を「深夜労働といいます。
労働者に「時間外労働」「休日労働」及び「深夜労働」を行わせた場合、使用者は労働者に一定の割合を加算した賃金を支払わなければなりません(法37条)。これが、一般的に用いられている残業代の意味です。
しかしながら、実際には多くの企業がこれらの残業代の支払を怠っています。
残業代は労働者が健康を犠牲にしながら過酷な労働をしたことへの対価ですので、きちんと使用者に請求をする必要があります。
ご自身の長時間労働に疑問がある方は、是非一度弁護士にご相談ください。


弁護士に残業代請求を依頼するメリット

 

相談者
相談者
残業代請求を弁護士に依頼するメリットは何ですか?

①弁護士が代わりに交渉するので会社と連絡を取り合う必要がなくなる
②残業代の請求に有利な証拠が取得しやすくなる
労働審判民事訴訟といった強力な裁判手続が可能となり交渉力も強くなる。
といったメリットがあります。
弁護士
弁護士

相談者
相談者
労働基準監督署への相談ではダメですか?

労働基準監督署は民事不介入が原則です。
そのため、より多くの残業代を請求したいのであれば弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士
弁護士






【解説】
弁護士が残業代請求の依頼を受けると、使用者に対して受任通知と言われる通知書を発送します。その通知書では、依頼者に残業代が発生していること、未払の残業代を全て精算して支払うべきことを通知します。
このとき、使用者に対しては交渉は弁護士が行うので本人への連絡は厳に控えるよう警告します。

さらに、「受任通知」では、依頼者の労働条件や労働時間を把握するため、就業規則賃金規程賃金台帳タイムカード業務日報などの資料の開示を求めます。多くの場合、使用者はこれらの資料の開示に応じます。
その上で、弁護士は交渉、②労働審判、③民事訴訟などの方法で使用者に残業代の支払いを請求していきます。②労働審判と③民事訴訟には強制力があるため、弁護士に依頼しない場合よりも残業代を回収できる見込みが高くなります。
また、このような強制な手続が可能であることを示すことで交渉力も強くなります。

これに対し、労働基準監督署は基本的に行政指導や刑事捜査を行なう行政機関です。
そのため、「民事不介入」が妥当することから、弁護士ほど強くは残業代の満額支払いを要請しない傾向があります。また、残業時間の認定も裁判所よりも少なくなる傾向があります。
したがって、より多く残業代を回収したいのであれば、弁護士に依頼することをおすすめいたします。
当事務所では、弁護士歴10年以上労働弁護団所属弁護士依頼者様1人1人と直接コミュニケーションをとりながら残業代を請求してまいります。
鹿児島で残業代請求の弁護士をお探しの際は、是非、当事務所にご相談ください。


残業代は1分単位で発生する

相談者
相談者
私の会社では15分未満の残業代がカットされます。
そのことを会社に抗議をしたところ、「業務の効率化に必要なので残業代を支払う必要はない」と言われました。
そのような残業代のカットは許されているのでしょうか?

カットは違法なので1分単位で残業代を請求できます。
弁護士
弁護士

【解説】
今回の質問のように業務の効率化を名目に15分単位の残業時間・残業代をカットしている企業が多く見受けられます。
しかしながら、残業代は、実際に労働した時間への対価です。そして、そのような大雑把な残業代のカットは許す法的根拠はありません。
そのため、残業代は実際に残業した全ての時間に対して1分単位で発生します。
もっとも、実際の残業時間を立証する責任は労働者側にあります。そのため、タイムカードの内容を控えておくなど可能な限り証拠を保存する努力をしておくことが望まれます。


残業代の計算例【月収25万円・残業時間計45時間の場合

相談者
相談者
私の月給は25万円です。
今月は合計で45時間残業しました。
内訳は時間外労働が30時間、深夜労働が10時間、休日労働が5時間です。
私の残業代はどのくらいになりますか?

1か月の残業代は6万7000円前後になります。
2年分に換算すると160万円程度になります。
弁護士
弁護士


【解説】
残業時間にはその種類に応じ、以下の割増が発生します。

  • 1日8時間・週40時間労働を超える時間外労働には125%(時間外手当)
  • 午後10時から午前5時までの深夜労働には25%(深夜手当)
  • 休日労働には135%(休日手当)

以上を前提に、今回の質問の条件で残業代を計算します。

  1. 月収から1時間単位の賃金を算出します。今回の月収25万円を月の所定労働時間173.8時間で割ると時給1434円が得られます(週休2日(祝日は出勤)とした場合、1か月当たりの労働時間の上限です173.8時間となります)。
  2. 時間外手当の金額は1434円×30時間×1.25=5万3775円となります。
  3. 深夜手当は1434円×10時間×0.25=3585円となります。
  4. 休日手当は1434円×5時間×1.35=9679円となります。
  5. 以上、合計で6万7039円となります。

なお、同様の残業が2年続いた場合、残業代は約160万円、3年続いた場合には約240万円となります。
このように、残業代は思いがけず大きな金額となっていることがあります。
残業代の計算に疑問がありましたら弁護士に相談されることをおすすめいたします。


パート労働者でも残業代を請求できる

相談者
相談者
月給制のパート労働者です。
労働契約上は1日6時間勤務となっていますが、実際には正社員と同様に1日8時間勤務しています。
このたび、会社に残業代を請求したところ「労働時間が1日8時間以内なので残業代は出ない」と言われました。
私は残業代を請求できないのでしょうか?

1日当たり2時間分の残業代を請求できます。
弁護士
弁護士


【解説】
賃金とは、労働を提供した時間への対価です。
今回の労働契約の場合ですと、月給は1日当たり6時間の労働時間の対価として定められているため、8時間労働をした場合には2時間分の賃金が未払となります。
そのため、会社はこの2時間分の賃金を残業代として支払う必要があります。
ただし、労働基準法上における上限規制の範囲内には収まっているため、+25%の時間外割増はつきません。
このような、労働基準法上の労働時間規制には反しないものの、契約上の労働時間を超える残業のことを法内残業といいます。


36協定がなくても残業代を請求できる

相談者
相談者
36(サブロク)協定とは何ですか?
私の会社では36協定が締結されていませんが、その場合でも残業代は請求できますか?

36協定は残業を正当化するために交わされる労働者たちと使用者の協定です。
36協定のない残業命令は違法ですが、残業代は請求できます。
弁護士
弁護士

【解説】
労働基準法は1日8時間・週40時間の労働時間の上限や週1日の休日の確保などの規制を設けています。
しかしながら、労働基準法36条は、労働者の多数代表者と使用者の協定により、一定の限度で労働時間規制や休日規制を緩和することができるとしています。これが、36(サブロク)協定です。
このように、36協定があって初めて時間外労働や休日労働が可能となることから、36協定が締結されていない場合、使用者は労働者に残業を命ずることができません。
そのため、この場合には労働者が残業命令を拒絶することができます。
他方で、実際には36協定が締結されないまま、長時間の残業が行われていることが少なくありません。
その場合、36協定がないことを理由に残業を無効として残業代の請求を否定すると、協定を締結しない方が有利となってしまいます。
そこで、36協定がない状態で残業をした場合でも、残業代の請求は可能とされています。
したがって、今回の事例でも残業代は請求は可能となります。

 


裁量労働制は実態がなければ無効

相談者
相談者
システムエンジニアとして勤務しています。私の会社では裁量労働制が採用されているため、1日9時間労働であるとみなされています。
しかしながら、実際に従事している業務の大半はプログラミング作業が占めています。
また、実際の業務は多忙を極めており終電までに退社できないことも日常茶飯事です。
会社は1日1時間分の残業代しか出せないといっていますが、そのような会社の言い分は認められますか?

裁量労働制として認められない結果、実際の残業時間ベースで残業代を請求できる可能性があります。
弁護士
弁護士

【解説】
裁量労働制とは、仕事の性質上、その進め方を労働者の自由な裁量に任せる必要があるものについて、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ定められたみなし時間によって労働時間を算定するという制度です(労働基準法38条)。
裁量労働制には、専門業務型企画裁量型の2種類があり、システムエンジニアは専門業務型として許される業務の1つとなっております。
専門業務型の裁量労働制を導入するためには、対象業務やみなし労働時間など一定の要件を定めた労使協定を締結するなどの手続を経ることが必要とされます。
また、実際には対象業務を行っていなかったり、みなし労働時間と実労働時間が大幅に乖離しているという場合には裁量労働制の適用は認められないとされています(エーディーディー事件・京都地裁平成23年10月31日判決)。
今回のケースでは、実際にはプログラミング業が業務の大半を占めておりシステムエンジニアとしての裁量が発揮できていないこと、実労働時間がみなし労働時間を大幅に超過していることなどから、先例の基準を前提とすれば裁量労働制の適用が否定されることになります。
したがって、今回のケースでは実際の残業時間ベースで計算された残業代を請求できる可能性は十分にあると考えます。


変形労働時間制は多くの場合で無効=残業代請求できる

相談者
相談者
医療法人に勤務する看護師です。
私の職場はシフト制なのですが、病院側の都合で頻繁にシフトの変更があるため長時間労働が発生することが珍しくありません。
今回、退職を機に病院に残業代を請求したところ、変形労働時間制なので残業代は発生しない」と言われました。
私は残業代を請求できないのでしょうか?

変形労働時間制とは認められないことから残業代が請求できる可能性が高いです。
弁護士
弁護士

【解説】
変形労働時間制とは、一定の期間内において所定労働時間を平均して週の法定労働時間を超えていなければ、期間内の一部の日または週において残業が発生しても、所定労働時間の限度で法定労働時間を超えたとの取扱いをしないという制度です。
変形労働時間制には①1か月単位(労働基準法32条の2)、②1年単位(同32条の4)、③1週間単位(同32条の5)の3パターンがあります。
このうち、最も典型的なものは①1か月単位の変形労働時間制ですので、今回もそれを前提とします。
1か月単位の変形労働時間制を採用した場合、ある週では例えばある週の労働時間を1日7時間・週35時間とする代わりに月内の別の週の労働時間を9時間・週45時間とすることも可能となります。
しかしながら、変形労働時間制は1日8時間・週40時間労働という大原則の例外となるため、実施に際しては非常に厳しい要件が課せられています。
具体的には、各単位期間における各労働日について,どの日に1週ないし1日の法定労働時間を何時間超えるのかを特定しておく必要があります。
この規制は、労働者が自分の労働時間を把握することを通じて体調を管理できるようにするために設けられているものです。
そのため、使用者側が業務上の都合で容易に労働時間を変更できる場合には変形労働制として無効であると理解されています(岩手第一事件仙台高判平成13年8月29日判決参照)。
今回のケースでも、法人側は1か月単位の変形労働時間制を採用しているとしていますが、法人側の都合で頻繁にシフトが変更されているとのことですので、制度として無効となる見込みが強いと思われます。
したがって、今回のケースでは原則に立ち戻って1日8時間・週40時間を超える全ての時間外労働について残業代を支払わなければならない可能性が高いです。


事業場外みなし労働時間制は多くの場合で無効=残業代請求できる

相談者
相談者
不動産会社の外回りの営業職として勤務しています。
私の会社では1日の労働時間が8時間とみなされていますが、実際には日常的に残業しています。
また、会社からはお客様の所を訪問した都度、会社に詳細な業務報告をするよう指示されています。
このたび、会社に残業代のことを尋ねたら事業場外みなし労働時間制を採用しているので残業代はない」と言われました。
私は残業代を請求できないのでしょうか?

事業場外みなし労働時間制とは認められないことから残業代を請求できる可能性が高いです。
弁護士
弁護士

【解説】
事業場外みなし労働時間制とは、労働者が職場の外で仕事をする場合で、労働時間を算定し難い場合、一定のみなし時間だけ労働をしたものとみなす制度です(労働基準法38条の2)。
この制度が適用された場合、実際の労働時間がみなし時間を超えた場合でも、みなし労働時間だけ労働したものと扱われます。
もっとも、判例上、「労働時間を算定し難い」の要件は厳しく制限されています。
例えば、携帯電話でクレームなどを会社に報告して指示を受けることが求められたり、業務日報により業務の実施状況などについて詳細な報告が求められたりしている場合には労働時間を算定することが十分に可能であるため「労働時間を算定し難い」には該当しないとされます(半休トラベルサポート事件(派遣添乗員・第2)事件・最判平成26年1月24日)。
今回のケースでも、相談者様は顧客への訪問の都度、業務報告をするよう指示しているとのことですので、その報告が行なわれた時間や報告の内容を通じて労働時間を算定することができます。
そのため、今回のケースでは事業場外みなし労働時間制として有効と認められない結果、実際の労働時間を基準とした残業代を請求できる可能性が高いです。


残業禁止自主的残業でも残業代を請求できる場合あり

相談者
相談者
私の会社では残業が禁止されています。
しかしながら、実際には到底業務時間内では処理しきれない量の仕事を命じられています。
このたび、会社に対して残業代を請求したところ、「会社が残業を命じた事実はない」と言って支払を断られました。
私は残業代を諦めなければならないでしょうか?

黙示の残業命令があったとして残業代が請求できる可能性があります。
弁護士
弁護士

【解説】
残業とは労働者の本来の労働時間を超えた労働を強いるものであるため、本来、使用者による残業命令があって初めて認められます。
ところが、それを良いことに、見た目上の残業時間を減らすため、残業を禁止したり、または、残業を許可制にしたりするケースがしばしば見られます。
この場合、後に労働者から残業代を請求された使用者は、「労働者が自発的に居残りしただけだから残業代は発生しない」と反論をしてきます。
しかしながら、業務時間内では処理しきれない量の仕事が命じられ、社内でその仕事に対応している場合、使用者としても労働者が自らの命令のもと時間外に労働していると認識することは容易に可能です。
そこで、本ケースのような場合では、使用者による黙示の残業命令があったものとして残業代の請求を認められることが少なくありません。
とはいえ、このようなケースではタイムカードが定時で切られるなど労働時間の立証に困難を生じることが多いです。
そのため、「PCのファイル更新時刻やログオフ時刻をスマホで保存する」、「防犯システムの起動時刻をメモする」、「家族に帰宅の連絡をする」、「業務日報の控えをとる」、「スマートフォンのGPS位置情報記録をオンにする」などの方法で自分自身で証拠を保存しておく必要があります。


タイムカードがなくてもその他の証拠で残業代を請求できる

相談者
相談者
私の会社では労働時間の管理がずさんでタイムカードすらありません。
業務日報はあるのですが会社内に保管されています。
家族に対するLINEでの「これから帰ります」という連絡や日々の出退勤時刻を記載した手帳のメモはあるのですが、そのような証拠でも残業代は請求できるのでしょうか。

請求できる可能性が十分にあります。
弁護士
弁護士

【解説】
残業代請求では労働時間の立証責任は労働者側にあるとされます。
しかしながら、会社側は賃金計算や健康管理のために労働者の労働時間を把握する義務があり、そのための資料を保管する義務も負わせています(労働基準法108条など)。
そのため、弁護士が代理人としてタイムカード業務日報の開示を請求した場合、多くの使用者はそれに応じます。
また、「PCのログイン・ログオフの記録」、「ファイル更新の履歴」、「施錠記録」、「警備記録」、「業務メールの送受信履歴」、「スマートフォンのGPS位置情報記録」なども労働時間の立証資料として用いることができます。
仮に開示に応じない場合でも、使用者側が労働時間適正
把握義務を怠ったにもかかわらず残業代の負担をさせないのは矛盾であることから、労働者の立証負担を緩和してくれる傾向が見られます。
そこで、労働者側としてはLINEの通信記録やそれに基づく手帳のメモだけからでも、それが日々記録されていることを示すことで十分に労働時間を立証することが可能となります。
以上から、今回のケースでは残業代を請求できる可能性が十分にあります。
もっとも、手帳のメモといった個人的な記憶だけに頼る証拠の場合には、労働時間の立証に困難を来す可能性が大きいので、極力、データで残る証拠を保存しておくことを心がけてください。


固定残業代(みなし残業代)は多くの場合で無効=残業代請求できる

相談者
相談者
基本給20万円、業務手当10万円(30時間分の固定・みなし残業代込みという内訳の給与で勤務しています。
実際には毎月60時間以上も残業があるのに全く残業代が払われていません。
そもそも業務手当が固定残業代であるということ自体、就職して初めて知らされました。
そこで、基本給とみなし残業代を合わせた30万円をベースに残業代を請求したいと考えています。
私の請求は認められるでしょうか。

最近の最高裁の傾向からすると残業代が認められる可能性は高いです。
弁護士
弁護士

相談者
相談者
私の場合、残業代はどのくらいになりますか?

60時間全てが時間外労働だと仮定した場合、1か月で12万9000円程度になります。
2年間分に換算すると310万円程度になります。
休日労働や深夜労働が加わるとさらに残業代が大きくなる可能性もあります。
弁護士
弁護士

【解説】
このような手当型の固定残業代(みなし残業代)が有効となるためには基本給部分と固定残業代部分が判別できる必要があり、さらに、その判別をするためには当該手当が残業の対価として支払われていることが必要とされます。
そして、当該手当が残業の対価として支払われているか否かは、①契約書等の記載内容、②当該手当や割増賃金に関する労働者への説明内容、③労働者の実際の労働時間等の勤務状況などを総合考慮して判断されます(日本ケミカル事件・最小1判平成30年7月19日)。
本件では、「30時間分の固定残業代」の「固定残業代」が時間外手当だけを示すのか、それとも休日手当を含むのか、さらには深夜勤務手当まで含むのかが不明であること(①)、契約前に業務手当の意味を説明されていないこと(③)、固定残業代で想定される労働時間に大幅な差があり差額精算もされていないことから、固定残業代制として無効となる可能性が大きいと考えられます。
そうすると、今回の場合は「業務手当」部分も基本給に含めて再計算した残業代が認められる可能性があります。
その結果、数百万円単位の残業代が支払われることも少なくありません。
その一例として、今回の相談から大まかな残業代を計算してみます。

  1. 月収30万円を労働基準法上の労働時間の上限である173.8時間で割ると30万円÷173.8時間=1726円が得られます。これが、1時間当たりの賃金となります。
  2. この1726円に時間外労働時間60時間と割増率125%を乗じると、1726円×60時間×1.25=12万9450円が得られます。
  3. この12万9450円に24か月を乗じると、12万9450円×24か月=310万6800円となります。これが2年間分の残業代となります。

この金額は、残業の全てが時間外労働であると仮定した場合の計算です。
そのため、休日労働(割増率135%)や深夜労働(割増率25%)が加わるとさらに残業代が大きくなる可能性もあります。
残業代の支払われ方や金額に疑問がありましたら弁護士に相談されることをおすすめいたします。


管理職でも多くの場合で残業代を請求可能

相談者
相談者
3年前に課長職に昇進した際、役職手当が若干上積みされた代わりに残業代が全く支給されなくなりました。
会社に相談しても「管理職に残業代が出ないのは当たり前」と言われて取り合ってもらえません。
私は残業代を諦めなければならないのでしょうか。

課長程度の役職であれば残業代が認められる可能性が高いです。
弁護士
弁護士

【解説】
労働基準法41条2号は「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)に対する深夜割増手当以外の残業代を支払う必要がない旨を定めています。
ここで、同規定の管理監督者とは「経営者との一体的な立場において同法所定の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむをえないものといえるような重要な職務と権限を付与され、また、賃金などの待遇やその勤務態様において他の一般労働者に比べて優遇措置がとられている者」をいうとされています(日本マクドナルド事件・東京地判平成20年1月28日)。
具体的には、①企業全体の事業経営に関する重要事項に関与できる立場にあるか、②出退勤時間に対する裁量があるか、③地位にふさわしい待遇が与えられているか、により管理監督者性の該当性が判断されます。
今回のケースでは、課長職程度では役員会に出席して主体的に意見を述べる権限はないこと(①)、残業を拒否する自由もなく労働時間への裁量もないこと(②)、役職手当はその前の役職よりも若干上積みされた程度しかないこと(③)から、管理監督者とは認められないと考えられます。
したがって、会社に対する残業代請求が認められる可能性は高いです。


年俸制でも残業代を請求できる(勤務医の残業代)

相談者
相談者
医療法人に勤務する医師です。
残業代込みの年俸1700万円で採用されていますが、昼夜を問わない勤務で休日もほとんど取れないため、この際きちんと残業代を請求したいと考えています。
しかし、法人からは年俸制なので残業代は支払えない。」、「宿直時間中は患者対応の時間しか労働時間として扱えない」と言われています。
私としては、待機時間も含めた上で残業代を請求したいのですが、認められるでしょうか?

待機時間を労働時間に含めた上で残業代を請求できる可能性が高いです。
弁護士
弁護士

相談者
相談者
例えば1か月当たり45時間の時間外労働をした場合、私の残業代はどのくらいになりますか?

1か月当たり45万8000円程度になります。
2年間に換算すると約1100万円にもなります。
弁護士
弁護士

【解説】
年俸制とは給与の金額を1年単位で決定する賃金形態です。年俸制だからといって労働基準法上の労働時間規制を免れるわけではないため、残業が発生すれば残業代を支払う必要があります。
今回のケースでは、年俸1700万円のなかに残業代が含まれていることに争いはありません。
しかし、基本給部分と残業代部分の判別ができない以上、残業代の支払としては無効となります(医療法人社団康心会事件・最小2判平成29年7月7日)。
さらに、労働時間に対しても、宿直時間中も不規則に呼び出しがあったということから、待機時間も含めて労働から解放されていなかったと評価される可能性が高いです。
その結果、今回のケースでは年俸1700万円をベース待機時間も含め労働時間で残業代を請求できることが見込まれます。
この年俸額を基準に、1か月で45時間の時間外労働があったと仮定しておおよその残業代を計算してみます。

  1.  1か月当たりの賃金は1700万円を12か月で割ると141万6666円が得られます。これが1か月当たりの賃金です。
  2.  この141万6666円を労働基準法上で許される1か月の上限労働時間である173.8時間で割ると8151円が得られます。これが1時間当たりの賃金となります。
  3.  この8151円を基準に、時間外労働時間45時間と割増率125%を乗じると、8151円×45時間×1.25=45万8493円となります。これが1か月当たりの残業代となります。
  4.  45万8493円に24か月を乗じると45万8493円×24か月=1100万3832円が得られます。これが2年分の残業代となります。

勤務医を含む医療スタッフの労働条件については非常にルーズな取扱いが目立ちます。自分の職場環境に疑問を抱かれましたら弁護士に相談されることをおすすめいたします。



当事務所では、こちらに掲載したもの以外にも多くの残業代相談を取り扱っています。
残業代の問題でお悩みの方は、是非

【TEL】0995-50-1341

(受付:平日 9:00~18:00)

までご連絡ください。

※初回の労働相談は無料となっています。安心してご相談ください。