不当解雇
こちらは不当解雇問題の専用ページです。
不当解雇問題では
- ある日突然「明日から会社に来なくていい」と言われる
- 解雇理由を説明されないまま解雇を言い渡される
- 試用期間終了を理由に本採用を拒否される
- 景気悪化を理由に内定を取り消される
などの相談が多く寄せられます。
本ページでは、それらの問題に対する弁護士の対応についてQ&Aでまとめました。
不当解雇でお悩みの方は、是非、本ページをご参照の上、
(受付:平日 9:00~18:00)
までご相談ください。
※労働相談は初回無料となっております。安心してご相談ください。
不当解雇の争い方
Q:会社から突然解雇を言い渡されました。納得がいかないので会社を訴えたいと思います。会社にはどのような形で責任をとってもらえますか。
A:解雇が無効の場合には復職と復職までの賃金を請求できます。
【解説】
労働者の解雇は客観的に合理的な理由と社会的相当性がなければ無効となります(労働契約法16条)。解雇が無効になると、労働者は再び勤務先に復職できることになります。
また、労働者が勤務先で就労できなかったのは、使用者側が不当な理由で就労を拒絶していたことに由来することになるため、使用者は労働者に賃金を支払う必要があります(民法536条2項)。
そこで、労働者側は解雇無効を通じて復職と復職までの賃金を請求することになります。
弁護士に依頼するメリット
Q:不当解雇問題を弁護士に依頼するメリットはどのような点にありますか?
A:①「復職の請求」、②「復職までの賃金請求」、③「合意退職の見返りの和解金獲得」などの成果が期待できます。
【解説】
解雇が無効と判断された場合、労働者は依然として労働者としての権利を使用者に請求することができます。
具体的には、労働者は使用者に対して
- 復職の請求
- 復職までの賃金支払請求
を行なうことができます。
その結果、使用者側は数百万円単位の支払を強制されることも珍しくありません。
また、合意により退職する場合でも、その見返りに
- 「復職したのであれば支払われたはずの賃金」を基準とした和解金
を獲得することが期待できるようになります。
この和解金も、数百万円単位となることが珍しくありません。
このように、不当解雇問題を弁護士に依頼することで労働者側は大きな救済を得られることが期待できるようになります。
不当解雇の証拠
Q:会社から「明日から会社に来なくていい」と言われました。私としては不当な即時解雇だと認識しているのですが、今後会社と交渉する際に注意しておく必要はありますか。
A:解雇理由証明書または退職証明書を取得してください。
【解説】
使用者側からは「明日から会社に来なくていい」と言われたとのことですが、そのまま交渉を開始すると「解雇はしていない。本人が自分から出社拒否するようになっただけ」と開き直られることがあります。
そのため、使用者側の対応が解雇だったことを証拠で裏付けておく必要があります。この点、労働基準法22条は使用者に対して解雇の際に労働者に解雇理由証明書または退職証明書を交付することを命じています。
そこで、使用者側に請求してこれらの文書を交付させておくと使用者側の発言が解雇であることを裏付けられます。
交渉の経過が録音が残されているとより一層望ましいです(私の経験上、無断で録音したからと言って違法性を問われたことはありません。)。
不当解雇のケース①:複数回の遅刻
Q:深夜休日までの残業が続いたため、うっかり寝坊して大事な商談を2回もすっぽかしてしまいました。その結果、激怒した会社から解雇を言い渡されています。私にも非はあることは十分承知しているのですが、解雇までは行き過ぎだと思います。会社と争うことはできますか。なお、これまでに処分歴はありません。
A:解雇無効を争うことができます。
【解説】
解雇が有効となるためには労働契約法16条が定める客観的合理性と社会的相当性が必要です。
今回のミスは確かに大きいですが、寝坊自体は故意ではないこと、商談が流れたことで具体的に会社に生じた損害の内容も不明であること、会社の業務自体が普段から過密であり寝坊を誘発する事情があったこと、これまでに処分歴がないことなどを踏まえると直ちに解雇というのは性急であると考えられます。
そのため、解雇無効が認められる可能性が十分にあります。なお、2回にわたって生放送に遅刻したアナウンサーへの解雇を無効とした事例として高知放送事件(最小2判昭和52年1月31日)があります。
不当解雇のケース②:能力不足
Q:今の会社には営業職で採用されたのですが、3か月にわたって新規顧客がゼロであったため会社から解雇を言い渡されました。未経験の業界だったことから勉強しながら結果を出していこうと思っていたため、会社の対応には納得できません。解雇を争うことはできますか。
A:解雇無効が認められる可能性があります。
【解説】
解雇が有効となるためには労働契約法16条が定める客観的合理性と社会的相当性が必要です。
この点、ブルームバーグ・エル・ピー事件(東京高判平成25年4月24日)は、能力不足による解雇が認められるためには、能力不足が「当該労働契約の継続を期待することができない程に重大なものであるか否か、使用者側が当該労働者に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかったのか否か、今後の指導による改善可能性の見込みの有無等の事情を総合考慮して決すべき」としています。
営業職で新規顧客の開拓ができないことは確かに会社にとって損失かもしれませんが、業界未経験者を採用したという点で会社側にも相応の責任があります。
また、新規顧客が開拓できない理由については、業界全体の成長度にも影響されること、このような解雇の場合、多くのケースで職員に対する事前の研修・教育が不十分であることから労働者だけに責任を負わせることは酷ともいえます。
そのため、今回の解雇は客観的に合理的な理由はなく無効であると考えられます。
試用期間中の解雇
Q:会社から試用期間3か月後に本採用という条件で入社したのですが、試用期間終了前に本採用拒否を通知されました。特に問題なく仕事をこなしていたはずなので納得がいきません。会社の対応を争うことはできないですか。
A:解雇無効を争うことができます。
【解説】
労働契約締結時に一定期間の試用期間が設けられることはよく見られます。この試用期間が設けられている場合でも労働契約自体は既に成立しているので解雇をするためには労働契約法16条が求める客観的合理性と社会的相当性が必要となります。
そして、先行裁判例は簡単には試用期間中の解雇を認めません。
そのため、試用期間中の解雇についても、通常の不当解雇の場合と同様に解雇無効を理由とする復職や賃金の請求をすることになります。
不当な内定取消し
Q:このたび、志望業界から内定をいただいたのですが、就職予定先から「想定よりも内定辞退数が少なかったので内定を取り消す」と言われてしまいました。就職していない以上泣き寝入りするしかないのでしょうか。
A:解雇無効を争える場合があります。
【解説】
採用内定の法的性質には多少の争いはありますが、労働契約自体は成立していると評価できるケースは多く見られます。
その場合には、いったん成立した労働契約を使用者側の意向で終了させることになりますから労働契約法16条に定める解雇権濫用法理の規制が及ぶことになります。
ただし、単に内定を出す約束をする段階である「内々定」の場合には、労働契約は成立していないので解雇無効を主張することは難しいです。
もっとも、「内々定」に止まる場合にでも就職への期待を侵害したことに対する慰謝料が認められる余地があります。
内定が認められるか否は専門的判断が必要になるので事前に弁護士に相談されることをおすすめします。
突然の整理解雇
Q:ある日突然、会社の業績悪化を理由に整理解雇を言い渡されました。確かに会社は赤字続きだとは聞いていましたが、財務諸表が示されないので具体的な金額は分からないですし、本年度も新規の採用も行っていたのでまさかいきなりリストラが始まるとは思っていませんでした。このまま整理解雇を受け入れなければならないのでしょうか。
A:整理解雇の4要素を満たさず解雇は無効と考えられます。
【解説】
整理解雇は専ら経営側の事情による解雇であることから、通常の解雇とは異なる要件が用いられています。
具体的には①人員を削減する必要性はあるか、②解雇回避努力を尽くしたか、③解雇対象の人員選択は合理的か、④労働者に手続について十分説明されたか、といった要素を総合して解雇の有効性が判断されます(これを「整理解雇の4要素」といいます。)。
今回のケースでは、会社の赤字が財務諸表上では説明されていないこと(①、④)、赤字解消のためにどのような経営努力をしたかが明らかではないこと(②、④)、新規従業員の採用という経費削減とは矛盾する行動をとっていること(①、②)、解雇対象の人員選択過程が不明確であること(③、④)、整理解雇に至るまでの過程について説明がされなかったこと(④)から、整理解雇の要件をみたしていません。
したがって、今回の解雇は無効であると考えられます。
労災治療中の解雇・別の職種での復職希望
Q:地元では大手の建設会社で採用されて以来、専ら現場作業に従事していましたが、半年前に仕事中の事故に巻き込まれて足が不自由になったため会社から解雇されてしまいました。労災保険で治療中の解雇だったのですが、そのような解雇が許されるのでしょうか。また、治療終了後は現場作業は無理だとしても事務職などで復職したいのですが、そのような希望はかなえられますか。
A:解雇は無効です。復職も認められる可能性があります。
【解説】
業務上のケガや病気で治療中の労働者に対する解雇は労働基準法19条により禁止されています。そのため、今回の解雇は無効となります。
次に、現場作業以外での復職希望についてですが、この点については片山組事件(最小1判平成10年4月9日)が参考になります。
同判例は、「その能力、経験、地位、当該企業の規模、業種、当該企業における労働者の配置・異動の実情及び難易等に照らして当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供をすることができる」場合には、使用者は賃金の支払を拒絶できない旨を述べています。
今回のケースで、ご相談者様は地元では大手の建設会社に勤められていることから現場作業以外の事務職員として配属される可能性はあったといえます。
そのため、会社側が相談者様の就労を拒絶しても賃金の支払義務は免れないとされる可能性が高いです。
その結果、会社側が事務職での復職を認める可能性があります。
具体的な復職先の業務内容については事前に十分な検討が必要ですので、事前に弁護士にご依頼されることをおすすめします。
こちらに掲載したもの以外にも多くの労働相談を取り扱っています。
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