週休4日制は多様な働き方を実現するか?

 先般、みずほフィナンシャルグループが週休4日制を採用するとの報道がありました。
 報道ベースによると、基本給は週休3日で従来の80%程度、週休4日で60%程度になるという制度のようです。
昨今の「働き方改革」や新型コロナによるリモートワークの広まりを受けて、今後週休3日制ないし4日制を採用するという企業が増えてくるかもしれません。
 ただ、週休制の多様化は労働者の多様な働き方を実現するのでしょうか?
 この記事では、私なりに気になった点をピックアップしたいと思います。

制度導入は現実的か

 今回発表された制度は、週休3日制の場合には基本給が従来の80%に、守旧4日制の場合には基本給が従来の60%になるとされています。
 つまり、労働者にとっては賃金という最も大事な労働条件が、不利益に変更されるという側面があることは否定できません。
 そうすると、今回と同様の新制度を導入する場合、多くの企業では既存の就業規則の変更が求められることになるでしょう(なお、今回のケースでは労働組合との協議に基づいて新制度を導入するとのことなのでこの点は問題にならないと思われます。)。
 この場合、新しい就業規則が有効となるためには労働契約法10条が求める要件(労働者への周知と変更内容の合理性)を満たす必要があります。
 そして、先行判例は、就業規則の内容のうちでも賃金といった重要な労働条件を不利益に変更する場合には、特に高度の必要性・合理性が必要であるとしています(最2小判平成9年2月28日・第四銀行事件、最2小判平成9月7日・みちのく銀行事件)。
 そのため、後で新制度への変更が無効とされないためには、その制度を利用できる場合を労働者の申出や合意がある場合に限るといった内容にするのが無難でしょう(ただし、このような制度設計をした場合でも後に合意の真意性が問題となる可能性があります。)。
 このように、賃金減額を伴う新週休制度への変更は、事務手続的に煩わしい上、労働者側の理解と協力も不可欠となることから、多くの企業、特に日本で大多数を占める中小企業ではあまり現実的ではないように思われます。

パワハラの方便に使われないか

 先にも触れましたとおり、賃金減額を伴う新週休制度は、労働者の申出や合意を得た場合のみに適用するといった手当をすることが必要に思われます。
 しかし、実際に新しい週休制度を導入する企業では、使用者側の命令で制度の対象となる労働者を選択できるといった規則になる可能性は大きいでしょう。
 そして、ガバナンスが効いていない企業の場合、新制度を違法な退職勧奨の一手段として悪用することが懸念されます。
 すなわち、企業にとって不都合な労働者を新制度の対象者とすることで、新制度による減給を受け入れるか、それとも自主退職をするかの二者択一を迫るというケースが出ないかが危惧されるのです。
 また、このような運用がなされる場合、新制度の対象とすること自体が一種の劣等社員としてのレッテルを貼ることになるので、「過小な要求」や「人間関係からの切り離し」といった類型のパワハラ紛争を招くことも懸念されます。
 そのような場合、労働者側としては、新しい就業規則の無効を主張して従前の賃金との差額支払を請求したり、ハラスメントに対する慰謝料等の請求をしたりすることになるでしょう。多様な働き方・生産性向上どころか、労使ともに不毛な消耗戦を強いられることになりかねません。

最後に

 以上のように、今回みずほフィナンシャルグループが導入するとした新週休制度は法律的に考えて難しい課題があり、特に中小企業で安易に導入することは控えた方が良いように思われます。
 それでも導入を検討される場合には、制度を導入することで目指す効果は何なのか、将来的に労使間の軋轢を生じさせないかといった点を十分に顧みていただきたいと感じた次第でした。
 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

2020年10月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : admin