司法試験合格発表を受けて

本日,平成27年の司法試験の合格発表がありました。

合格者数1850人,私の母校である北海道大学法科大学院出身の合格者は42名とのことでした。

合格者の皆様,おめでとうございます。これまでの勉強の成果が実ったことをお祝い申し上げます。

残念ながら本年の合格がかなわなかった皆様におかれましては,大変悔しいお気持ちだと心中お察し申し上げます。今は辛いと思いますが,時間をかけてその気持ちを整理していただければと願っております。

さて,今回,司法試験受験生たちを愚弄する信じがたいニュースが飛び込んできました。

「司法試験問題漏えいの疑い 論文の書き方を指導か

明治大学法科大学院の教授がことしの司法試験で試験問題を漏えいしたとして告発された事件で、この教授は、試験前にみずからが作成に関わった論文試験の問題を教え子だった受験生に解かせたうえで、論文の書き方まで指導していたことが分かりました。東京地検特捜部はすでに関係先を捜索するなど問題漏えいの実 態解明を進めています。」(本日のNHKウェブニュースの抜粋)とのことです。

数年前にも,慶應大学法科大学院において試験問題の漏えいが問題となったことがありましたが,今回のニュースは論文の漏えいだけでなく,それに加えて試験問題を解かせた上で答案の書き方まで指導していたというのですから,全く悪質きわまるものであり,言葉もありません。それと同時に,つくづく法科大学院制度のゆがみを思わせる事件だと感じました。

私が在学中も,他大学でいじめ問題が発覚し,それがニュースになったことがありました。

とにかく法科大学院ではこれが大の大人が,それも国民の人権に奉仕せんとする法曹の卵が人間がやることなのかという事件が平気で起こります。ニュースにならなくても,仲間はずれや告げ口などは複数の法科大学院においてあるようであり,法科大学院内には陰気な人間関係を作り出す土壌があるとしか思えません。

そして,当の学生の立場になれば,このようなことをしたくなる気持ちになってしまうのも不思議ではありません。

そもそも,法科大学院生は起きている時間のほとんどを勉強時間に充て,生活費や学費・教材費などに膨大な金銭的な負担を背負いながら,その将来は何も保障されていません。

弁護士の就職難や収入減少が(ごく一部で)問題とされていますが,司法試験に合格しなければ肝心の肩書きすら手に入らないのです。

しかも,法科大学院生は5回という試験回数の制限があるため,これを使い切れば法曹となる可能性はほぼなくなります。

その場合に残された人生の選択肢は,それまでに費やしたあらゆる負担と比べれば非常に少ないものです。

さらに悪いことに,今後司法試験の合格者数は漸減されていくというわけですから,受験生としては将来が不安で仕方なくなるのは当然で,正常でいられる方が異常だとすら思います。

このような法科大学院制度のゆがみが,今回のような幼稚でセコい事件の背景になったのではないかと感じます。

しかし,今回のような事件は当然,真面目に法曹を目指す人たち全員を,さらには国民全体を裏切る行為であり決して許されてはならないものです。

法科大学院におかれては,法曹を養成する場であることについて認識を新たにしていただくとともに,受験生側も楽な合格の途はないものだと改めて覚悟をしていただきたいと思います。

仮に司法試験で楽をしたとしても,その先には司法修習と2回試験が,その後は実務が待っています。試験に合格することはゴールではありません。国民の基本的人権を実現しようという考えれば,私たち法曹自身も日々勉強不足を痛感する毎日です。

世に楽な職業というものはないと思いますが,こと法曹を目指し国民の人権に奉仕しようと決意したのであれば,その目標を見失わないでほしいと思います。

受験生の立場からすれば,随分と好き勝手なことを書きましたが,法科大学院の制度上の問題は問題として,受験生の皆様におかれては,何とか自分を保って合格していただきたいという気持ちでこの記事を書かせていただきました。

1人でも多くの合格をお祈りしています。

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