依存症と弁護士業務

弁護士業務は依存の問題と関連があるものが少なくありません。例えば刑事事件ではギャンブル依存が原因の窃盗や薬物犯罪における被疑者・被告人の弁護人として活動しますし,民事事件でもやはりギャンブルが原因となった借金の債務整理を行うことで各種の依存の問題に接することになります。

個人的な感覚としては,鹿児島ではギャンブルとアルコールで依存に苦しむ方が多い印象があります。もしかしたらパチンコが盛んだったりお酒好きな県民性が関係があったりするのかもしれません。

いずれにしても,依存症の問題を抱えている場合には事件処理にも一定の配慮が必要です。なぜなら,弁護士による介入が逆に依存の問題の根を深くする可能性があるからです。

例えば,ギャンブルが原因で自己破産するに至った場合について考えてみます。

本来,ギャンブルで借金を繰り返したようなケースの場合には,自己破産を申し立てても免責が不許可になり,結局借金を返済し続けなければならないとされています。しかし,実際の運用上は,破産者の立ち直りに期待して高い割合で免責が認められ,借金返済の負担から解放されています。

問題は,ギャンブル依存の問題をそのままにして借金返済の負担だけなくすと,かえってギャンブル依存の問題の根を深くしてしまうということです。すなわち,ギャンブルから足を洗わない状態で突然,借金がなくなるといった状況は,本人のギャンブルに対する危機感を薄くさせ,再びギャンブルにはまらせてしまう可能性を高めてしまいます。

このように,本人のことを助けるためにしたことが,かえって本人の抱える依存の問題を悪化させる事態を招くことになります。

そのようなことにならないために,依存の問題を抱えている方に対しては速やかに精神保健福祉につなげることが必要となります。

具体的には,依存症の専門の病院での治療を勧めたり,アルコール依存症の場合にはAA(アルコホリック・アノニマス)や断酒会,ギャンブル依存症の場合にはGA(ギャンブラーズ・アノニマス)などの自助グループを紹介したりすることになります。また,依存症について書かれた書籍をお貸しすることもあります。

一般的に,依存症の方は自身が病気であることを認めたがらず,治療は困難であるといわれています。しかし,弁護士が必要となった時点では依存の問題がかなり深刻化しており,本人もそのことを自覚しています。そのため,これらの制度や依存の仕組みを依頼者に説明すると,依頼者の方も真剣に話を聞いてくださります。実際に自助グループに参加してアルコールやギャンブルをやめたという連絡を受けることも少なくありません。そのようなときは弁護士をやって良かったと思います。

このように,弁護士は依存症の問題解決にとって重要な役割を担うことができる仕事です。現時点では,この点について弁護士側が意識することは少ないようですが,より多くの弁護士がこの問題を自覚して活動すれば救われる方々も増えるのではないかと考えています。

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