弁護士の一斉登録を迎えて

本日になって知ったことですが,今月の16日に司法修習生の卒業試験に当たる2回試験の結果が発表され,18日付けで一斉に弁護士として新規登録がされたそうです。

「司法修習生」や「2回試験」について耳慣れない方が多いと思いますので,ごく簡単に説明いたします。

「司法修習生」とは,司法試験合格後に法曹三者といわれる裁判官,検察官,弁護士となるために必要な実務上の知識を得るための見習い学生みたいなものです。この司法修習生は,最高裁判所から任命され,身分は国家公務員に準じ,在任中は1日24時間365日,修習に専念して勉学に励むことが求められます。そのため,司法修習生はアルバイトなどで収入を得ることはほとんど認められていません。その代わりということで,私が司法修習生だったときまでは国から大卒公務員の初任給と同程度の給与をいただいていました(現在は貸与制となっています。)。

このような制度を設けている理由は,司法試験がペーパーテストで法律の知識や理解力を試すものであることから,この試験に合格しただけではプロの法律家として実際に法律を扱えるだけの能力が備わっていないため,ある程度時間をかけて(現在は1年間です。)集中的に実務の知恵を叩き込む必要があるという考えがあるためです。

次に,「2回試験」とは,司法修習生にとっての卒業試験みたいなものです。この試験を通過することで初めて弁護士などの法曹三者となることが許されます。司法試験に続いて2回目に受ける試験ということから,この名称が使われています。

合格率は大体95パーセント以上です。

これだけ聞くとずいぶん楽な試験みたいに思われます。しかし,この試験の受験生は司法試験をくぐり抜けた猛者たちだけの上,大概の修習生はこの試験を受ける時点で就職活動を終えて内定をもらっているため,絶対に落ちることができないという意味で合格率以上の割にプレッシャーの大きい試験となっています。

今年の受験生は2015名で,合格者は1973名だったそうです。今回合格できなかった方々はさぞかし無念であったと思いますが,来年での挽回を心より願っております。

他方,合格者は18日付で就職先に就職したことになります。一部は裁判官や検察官として任用されているはずですが,残りの1000名超の方々は弁護士に登録しているはずであり,私たちが活動している鹿児島でも10名を超える新弁護士が誕生したと思われます。

かつて,司法試験の合格者が500名だけしかいなかったことからすれば,鹿児島にも弁護士が増えたことは時代の変化を感じており,歓迎すべきことだと考えています。

しかし,鹿児島で弁護士登録をされた方々も,そのほとんどは県庁所在地である鹿児島市の事務所で活動をするにとどまっており,未だそれ以外の地域で活動を始めようという状態にはなっておりません。現に,私がいる霧島市においても,住民数は10万人を越えるにもかかわらず,そこで活動している弁護士数は私を含めてもヒト桁に止まっています。

私自身,弁護士増員時代の司法試験に合格し,弁護士となって3年目にしてようやく鹿児島市外で活動し始めた立場であるため大きなことは言えませんが,弁護士の数だけ増えてもなかなか県庁所在地の外に出て行くという目立った傾向は今のところ生まれていないようです。

最近では現在の弁護士数の急増が議論となっているようですが,私自身の感想としては,現在の状況で弁護士サイドがいくら弁護士数の増加の弊害を訴えたとしても,実際に地域での弁護士活動が活発となっていないのであれば,国民サイドからの支持は得られないと考えています。

特に,私が霧島市で活動を始めて以来,弁護士に相談できたこと自体を喜ばれる方々を見ていると,弁護士サイドから国民側に働きかけることで法曹需要を発掘する余地は大きいのではないかと思います。そのためには,まずもって私を含めた弁護士一人一人が,依頼者の皆様が抱えている悩みに真摯に耳を傾けて追体験をすることで,悩みの本質に迫ろうとすることが必要であると考えています。

現在の弁護士増の傾向からすれば,鹿児島や霧島市内にも今後弁護士が増えていくことで,より多くの国民の皆様の声が聞こえるようになると思います。そして,そのような弁護士増の傾向が世論的に許容される限り,弁護士側も国民側の目線に立って,弁護士に対して何を求めているのか,弁護士としてそれにどのように応えなければならないのかを問答しなければならないと考えています。

当地で活動を始めた私自身,霧島市において活動する一弁護士として極めて微力ながら,国民の皆様のために何ができるのか,あるいは,何をすべきなのかを日々自問自答して活動して参りたいと思います。

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