交通事故被害者は3度泣く(1)

今回からは複数回に分けて交通事故に関して当事務所によく寄せられる不安や相談の内容についてお話しします。タイトルにあるとおり,交通事故の被害者は3度―事故にあったとき,治療をしているとき,損害賠償額を決めるとき―泣かされるというお話です。

最初の1回目についてはイメージしやすいことだと思いますが,交通事故の被害にあうと,それまで何でもなかった日常とうってかわって,怪我で身体は痛い,仕事ができなくて収入が入らない,これからどうなるんだろうと考えるなどして肉体的にも身体的にも大きなストレスを抱えることになります。

そのような中,被害者としてはまずは治療に専念して少しでも体調を良くすることを優先することになります。この場合,交通事故の相手方が任意保険に加入していて「一括払い」というサービスを利用することができる場合,被害者は窓口で医療費を支払うことなく治療を受けることができます。

この「一括払い」とは,任意保険会社が,被害者に対し,自賠責保険会社が負担すべき分も含めて被害者に交通事故で生じた損害の賠償金を支払い,その後,任意保険会社から自賠責保険会社に立替分の清算を求めるという前提で成り立っているサービスです。

そのため,被害者側は医療費の支払は相手方の保険会社に任せて自分は安心して治療に専念してゆっくり体調を回復させていけば良いということになるわけです・・・で終われば誰にとっても良い制度なのですが,実はこの段階で相手方の保険会社との間でトラブル―治療費の打ち切り問題―が起き,それで被害者側が泣かされるということがかなり多いのです。

このトラブルは次のことが原因となって起こります。つまり,傷害の場合における自賠責保険の保険金上限額は120万円であるところ,この金額を超えて被害者に損害が生じた場合,その部分は任意保険会社が負担しなければならなくなります。そのため,任意保険会社は自賠責会社から回収できる部分については割とすんなり治療費の支払を認めるものの,治療期間が長引いて自社からの手出しが見込まれるようになると途端に治療費の負担を渋るようになるのです。

被害者側からすれば,自分の治療がどのくらい続くのか,自分の体調は本当に良くなるのだろうかと不安が尽きない中でいきなり治療費の打ち切りを通知されるわけですから,大きく動揺してしまいます。そこで,治療費の打ち切りをめぐってはトラブルが生じやすいのです。

この点について,被害者の治療にどれくらいの時間がかかるかということは,医師が症状や治療経過を見極めてからでなければ判断することはできません。そのため,被害者としては医師から必要だと判断された治療は継続しても良いし,体調回復のためにはむしろ治療を継続すべきなのです。

それにもかかわらず保険会社から被害者に対して治療やめろオーラの圧力がかかるのは,自社の負担すべき損害賠償額を「適正」な範囲に抑えたいという任意保険会社側の意図があるからです。被害者が治療を継続することで,治療費以外の面でも保険会社の負担が増えるので,それを避けたいという心理があるからなのです。

確かに,必要もない治療のために漫然と治療費を負担し続けるということは,モラル・ハザードを招くものであって許されることではありません。

しかし,他方で正直な被害者が必要な治療も本来なら得られるはずの損害の賠償も受けられないというのであればそちらの方が余程大きな問題であると思います。そして,実際にそのような正直者の被害者の数は少なくないのです。

次回以降では,この治療費支払の打ち切り問題について,被害者の苦しみと本当に適正な損害賠償とは何かについて書いていきたいと思います。

大晦日を迎えて

ここしばらくさっぱり更新ができなくて申し訳ありませんでした。

おかげさまで,当事務所は開所1年を何とかクリアできそうでホッとしています。

 

こうして無事に新年を間近にして思い返すと,今年は本当にあっという間にすぎた1年でした。

私個人としては大変忙しいでしたが,依頼者の皆様から直接お話を伺うことができたことは実に貴重な1年でした。

それと同時に,弁護士とは目の前の現実に悩む人々の声を聞き,顔を見て,少しだけでも希望をかなえることができるという仕事なのだと実感した1年でした。

これもひとえに私を信頼してくださった皆様のおかげであったと感謝しております。

来年も弁護士として何ができるかを自問自答しながら皆様の基本的人権を保障するために邁進していきたいと思います。

 

特に,今月は生活保護基準引き下げの違憲訴訟に原告訴訟代理人の一員として参加させていただくことができ,今後の弁護士人生にとっての貴重な一里塚になりました。私の故郷である鹿児島で,このような国民一人一人の生活に直結する訴訟に関与することができるのは,私の人生にとって無上の喜びです。

この訴訟については,頭の裁判所を説得する意味でも,国民の皆様に訴訟の意義を理解していただく意味でも,非常に長く険しい道のりとなりますが,貧困というそこにある現実で苦しむ方々の生々しい現実を理解していただくべく努力して参りたいと思います。

 

また,本年はいわゆる「ブラック企業」とは何かを垣間見ることができた年でした。

私とほぼ同じ年代の方々が「ブラック企業」に就職し,そこで良いように使い倒され,最後には人生で一番大切な時間をつぶされた,そのような不条理に憤った1年であり,それと同時に,そのような方々がなかなか弁護士に相談に来ることができないという現実に非常にもどかしさを感じた1年でした。

 

来年は,私自身もより法律専門家としての自覚をもって知識とスキルを習得していくとともに,一国民として皆様の抱える悩みに真摯に耳を傾けて参りたいと考えております。それと同時に,悩みを持たれる方々により身近に弁護士という存在を知っていただくために何ができるのかということを問い続けて参りたいと思います。

 

このように色々とご託を並べて参りましたが,来年も自分にできることを精一杯やり遂げて参りたいと思いますので,皆々様におかれても何卒御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

宮崎に行って参りました

一昨日の2月7日,九州弁護士会連合会(略して九弁連)の協議会に出席するために宮崎県に行って参りました。

弁護士たちは,日常的な法律業務以外にも人権保障や社会貢献を推進するためにいくつもの委員会を開催しています。私も九弁連では「高齢者・障害者支援に関する連絡協議会」に所属しており,2か月に1回くらいのペースで福岡県をはじめとする他県に行っています。

今回は,宮崎県弁護士会内において協議会があり,その後,宮日ホールにてシンポジウム「高齢者を支える権利擁護の仕組みを考える~日常生活自立支援事業から見える展望と課題~」が開催され,私も出席させていただきました。

ここでは具体的なシンポジウムの内容の説明は割愛します。しかし,判断能力が不十分な方々に対する権利擁護のあり方の実情や課題について分かりやすくかつテンポ良く議論されており,非常に充実したシンポジウムだったと思います。

日常生活自立支援制度は利用者本人が自身の意思に基づいて契約を締結し,普段の日常生活について援助を受ける制度です。その段階で弁護士が関与することはあまり多くないため,多くの弁護士にとってはそれほど縁がある制度ではないかもしれません。

しかし,高齢者や障害者の方々のクオリティ・オブ・ライフを実現するためには,我々弁護士も,成年後見制度と同じくらいに制度の内容を理解し,活用する必要があることを改めて確認することができました。

余談ですが,その夜にいただいた地鶏のたたきとチキン南蛮は絶品でした。鹿児島にも地鶏はありますが,やはり鶏肉の本場は宮崎なのだと再認識した次第でした。

はじめまして

初めまして。私は当事務所の弁護士の溝延祐樹と申します。

このたびは当事務所をご覧頂き誠にありがとうございます。

当事務所は,鹿児島県の一地区である霧島市に所在し,鹿児島県全域を中心に活動しています。

事務所紹介でも述べましたとおり,近年は司法制度改革により弁護士が増員されました。しかし,実際にはまだまだ弁護士という存在を知らないまま悩みを抱えて誰にも相談できないという方々が多くいらっしゃるように思います。

私は,そのような悩みをもつ方々にとって身近に寄り添える弁護士の1人として,少しでも皆様の助けになりたいと思いから,このたび当事務所を設立するとともに,ホームページを開設しました。「国分隼人法律事務所」の名称も,分かりやすく親しみやすい名前にしようという思いから付けたものです。

まだまだ未完成なホームページですが,今後随時更新してより見やすいものにしていきたいと思います。

また,当ブログについても,日々考えたことや皆様にお役に立てる情報を提供したいと思っていますので,よろしくお願いいたします。